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コースの予習はどこに重点を置くべきか(完走できるか・できないかの瀬戸際) [BRM初心者講座]

2013.6.20(木)

 ブルベのコースはそれこそ千差万別で、走者の脚前も同じくだいぶ異なります。
そうは言っても、大目的は「時間内に完走すること」であることは共通事項ですので、そういった観点からコースの予習もするべきなのだと思います。

 私は(三味線弾きでなくマジで)遅いので、たいがい最後尾に近いところを走っています。ちょっとしたトラブルや、少しばかり観光とかグルメポイントで時間を使い過ぎると、途中のPCでタイムアウトを意識する必要があったりします。そういう観点から見た場合の、「堅い」予習方法について少し書きたいと思います。

 ブルベのコース情報はキューシートで提示されますが、自分でルートラボを引いてみるなどして、各PC間毎の濃淡をまず確認しておくことが最初にやるべき作業となります。自分の脚前に対して、それぞれの区間がどの程度で走ることができるか所要時間を予想しておくわけです。
上りに強い人であればアップダウンが多少あっても、さほど平均速度は落ちないかもしれません。平地に強い人であれば信号ストップの回数にもよりますが平地で大きく距離を稼げる人もいるでしょう。そのあたりは過去のツーリングやブルベの経験から自分の走力の実力として、ある程度は所用時間の予想がつくようになっていると思います。

 天候に恵まれた場合の想定で、ゴールまである程度の余裕時間を残して到達できるという予想がつくと、そこで安心してしまうこともあるでしょうが、私の場合は「最終区間をどうやって走るか?」というところを重点を置いて、さらに確認するようにしています。
その理由は「ブルベでは何が起こるかわからない」という前提があるからです。途中で荒天になる、体調が悪くなる、メカトラなどで移動速度があげられなくなる、等々、何らかの要素があって遅くなることは往々にしてあるからです。

 具体的には、最終PCからゴール地点までの距離と所要時間、最低必要となる移動速度について再計算しておきます。ブルベの距離は200kmなら200kmぴったりということはなく、たいがい数キロ長くなっています。短いと1km程度のこともありますが、たまに10kmを超えるようなコースもあったりします。これが曲者で最終PCのクローズ時間までいると、場合によっては(貧脚だと)どんなに頑張ってもゴール地点でタイムアウトしてしまうことがあるのです。

 手元に過去のキューシートの現物が無いので具体的な数値は若干誤差があるかもしれませんが、過去一番苦労したのは、2010年のBRM406宇都宮300でした。
最終PCはPC5(馬頭)で266.6km地点、このPCのクローズ時間はメモによると7時スタートだと日付が変わって翌日00:44だったそうです。
(公式のPCオープン・クローズ計算機で計算しなおすと翌日00:48と出る)
そしてゴールとなる宇都宮森林公園はPC5から45.2km先の311.8km地点。

PC5のクローズ時間いっぱいまでいると、PC5〜ゴール地点までは45.2kmを2時間16分で走る必要があります。
平均時速15km/hだと33.4km分の時間しかないわけで、必要となる移動速度は最低で19.94km/hなので20km/hが必要となるわけです。

この日の宇都宮300は前半の途中、勿来に行くまでの山の上で雪が降りずぶ濡れになったあと、復路の夜の峠越えで手足が凍り付き、といった具合でした。
山間部で途中少し雨に降られるぐらいは覚悟していましたが、雪までは備えていなかった人が多く、中盤から後半にかけてはだいぶやられた状態で走っていたことを覚えています。

そしてPC5からゴールの宇都宮森林公園までの区間には、大きな峠越えこそないもの細かいアップダウンが多い八溝グリーンラインを通るのです。最後はラスボスの鶴カントリーも待ってます。獲得標高というスペックからだけでは見えにくい地味なつらさがある区間でもあります。(徳次郎Sの前後など信号も多少あって、よく引っかかります)

事前にコースプロフィールをちゃんとチェックしておけば、この区間を20km/hで楽々と走れる人であればいざ知らず、自分の場合は通常の走行ではいいとこ18km/h程度までしか出ないだろうという予想がつくわけです。
18km/hから逆算すると、45.2kmの所用時間は2時間31分となります。
16km/hから逆算すると、同じく所要時間は2時間50分となります。安全策はこちらでしょう。
パンクなど途中でのトラブルがなかったとしても2時間50分前である、0:10にPC5を再スタート切るぐらいでないと危ないという時間のとらえ方を事前にしておく必要があるのです。

さらに言うと、PC5のクローズと再スタートの時間の関係がそうなるということは、PC5の到着時点で1時間の貯金が必要になるという意志をもってPC4〜PC5の間で走る必要が出てくるわけです。

ゴールまでの余分な距離があって、途中の天候要素で身体にダメージが蓄積されて、さらに時間もおしてきている。
そんな状況になると、最後は結構サバイバルになるのです。

この時の実際は(ウェーブスタートでの時間を補正してずらすと)PC5を00:03に再スタートして、ゴールは02:34と2時間31分かかっています。移動平均は丁度18km/hですがこの区間は本気で踏みました。(当社比)
ワントラブルで30分失うと終わる、という認識の元に珍しくリミッターを外して本気で走ったわけですが、それでも18km/hまでしか出すことができずで終わりました。(実は今よりもだいぶ走力があった頃の話です)

最後の区間でもし途中でミスコースしたら?それは即終わりを意味します。往路と復路で違うのであれば、そのポイントをどう曲がるべきか。同じであっても初見の場合は往路と復路で見え方が変わるので、往路の時点で後ろを振り返るなどして、景色を頭のなかにたたき込んでおくなど、ミスコースを防ぐためにできることは沢山あります。昼間と夜とでは当然見える景色も変わります。目印は自分の目で確認しておくことが必要です。
(余談ですが、こういった所要時間のシミュレーションや景色の見え方のチェックを現場でするというのは、元がダイバーあがりで学生時代ガイドダイバーのようなことをしていたりという経験から来ているかもしれません)

この時はどこで信号に引っかかる可能性があるか。ということも含めて脳内シミュレーションを事前にしておくことによって、18km/h以上の移動は無理という自分なりの判断があって、それを元に残り時間をどう使うかということを実際の本番当日にPC4やPC5で確認しながら走って、なんとか完走(認定)をすることができた次第です。脚が無いなら頭を使うしかないのです。

本来、2時間ぐらい余裕がある走り方をしていれば、ここまでシビアに考える必要はないでしょう。
でも、走力が無い人や、途中で天候要素や様々な理由で時間を失う場合を考えると、こういったところを事前にしっかりと押さえておくことで、きっちり完走することにつなげていけると思うのです。
最後の区間の走行イメージをしっかり作って、それができるように全体を組み立てていく。途中の時間の使い方、がんばり方、休憩の仕方、全ては計画どおりに行かないにしても、ベースラインを作っておくことで、様々な変化に対して臨機応変に対応できるわけなのです。

(おまけ)
個人的には、最終PCをほぼクローズ時間に通過できたら普通に走ればきちんと完走できるコースが望ましいと考えています。自分で引くコースについては、そういう観点でチェックをして余分な距離が長くなりすぎないように、また最終区間が厳しくなり過ぎないように配慮しています。
もちろん、そんなことは考える必要が無いという判断をする主催者やコースがあってもよいでしょう。発着地が固定しているコースであれば多少の距離の誤差はどうしても発生してしまいます。長い分には認定を受けるコースとして問題はありません。
が、そういう罠が隠されているコースかどうかは、事前にキューシートや地図読みから参加者がしっかり予習して見抜くことが大切なのだと思います。


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