SSブログ

順次取得をお勧めする理由 [BRM四方山話]

2015.2.26(木)

 今年、AJたまがわでは「順次取得」は必須とはしていません。が、個人的な思いとして、やはり順次取得で200kmからステップを踏んで行く方が良いと思っています。
(かつてAJでも順次取得が必須だった時期があったそうですが、今は無くなってます)

 自分が走るだけでなく、2011年からフルで4シーズンほどスタッフをやってきて、いくつかのブルベのゴール番とかでそれなりの人数のランドヌールが戻ってくるのを見続けています。

 ACP公認BRMの距離が、200km、300km、400km、600kmというのは良く出来ているなぁ、とつくづく感じることが多いです。

 200kmは、春以降の陽が長い日程であればスタートからゴールまで明るいうちにゴールまで走りきることができます。灯火類の装備はBRM規定で必須となりますが、実際は殆ど使うことなく普段ランドネ(自転車小旅行)的な走り方をしていない人がロードレーサーの軽装(もちろん公道走行のために必須となる法定装備は必須)のまま出走しても、天候が良ければ全く問題ないことが多いです。

 ブルベ(国内ではほぼ≒ACP公認BRM)で200kmというのは、ある程度距離を走ることに慣れた人にとって、距離だけで言うと、さほどその壁は高くありません。(※ 山岳コースとか特殊なコースを除く)
ただし、決められた経路に沿ってコントロール(PC)を辿りながら走るというのは、少しだけ勝手が異なるでしょう。
自分で好きに走るのとは異なります。また一部のコントロールでの制限時間に合わせると、途中で大休止を勝手にとることができなかったり、また、基本はソロ走行ですが(ここ重要!)多くの参加者が同じ経路を前後して走るため、場合によっては前後に他のランドヌールが並ぶ場合があったりします。

 集団走行の必要性は全くないもの、前後に人がいる時の走り方、気の使い方というのも多少独特のものがあったりします。(ローカルルールに近いものなので、各クラブ、コースごとに参加者層で異なる)

 自分が200kmは(距離的に)簡単に走りきれるから、「まずは300kmから」とか考えている方。
別にそれが悪いとは言いませんが、ブルベはブルベの走り方があります。200kmを一度走って、それなりに慣れてから300kmへチャレンジされた方が良いと、自分が走者の立場でもスタッフの立場でも強く思う次第です。

 300kmになると、とても速い人は別ですが、一般的な走力でいうと夕方から夜間にかけて多少のナイトライド(夜間走行)区間が入ってきます。朝スタートの300kmであれば多くは復路の50km〜100kmぐらいの区間が相当するのではないでしょうか。ブルベのコースは本来、単純往復コース設定がACPからは推奨されていますが、国内BRMでは多くがループの周回コースだったり往路と復路が異なるコースも多いです。
明るいうちに朝走った経路を、暗くなって反対方向から戻ってくるというのは、実は理に適っていると思うのですが、そうであったとしても逆から辿る道は見え方も異なりますし、暗くなると全く違う道に見えることすらあったりします。
多くの人は、ここで初めて200kmで使っていた自分の灯火類の貧弱さに気づくことになると思います。とりあえずBRM規定に「前照灯」というのがあるから、適当につけとけば良いか、とか思っていると街灯も人家の明かりもない真っ暗な道を辿ったりして、その暗さを初めて体験するという方もいるようです。最初から、他のランドヌールから経験談などを聞いていて、またその装備を真似ていて、比較的明るいライトを複数装備されている方もいますが、「これじゃあ厳しいだろうな」という装備で出走される方もたまにいらっしゃいます。
それでも300kmはよほどのことが無い限り、ゴールまでの間に仮眠を挟む人は希でしょう。
(夜スタートの300kmは別物で、ほぼ400kmと同じものになるので割愛します)

 300kmまでは、ぎりぎりワンデーサイクリングの延長で、少しナイトライド要素が入ったものとなります。
ここまではおそらく距離が走れれば、なんとかなるという範疇に収まります。

 そして、300kmと400kmの間には、多くの人に取って最初の大きな壁が立ちはだかります。
一番の違いは、400kmという距離を一気に走りきれる人は、それなりに限られるということです。多くの人が途中で眠気を感じたりして、短時間でも仮眠を取ることが入ってきます。(400kmがワンデーサイクリングという人はレア)
長年ブルベを走っていても、300kmは出るけど400km以上は走らない、という人もいたりします。
夜間走行は慣れも必要ですが、自分の身に何かが起きるリスクが格段に高まります。総合的な判断でリスク有で走らない、という選択をされる方もいるカテゴリーなのです。

 仮眠を取る場所、取り方、それぞれ個人毎に経験と知識から来る実戦的なノウハウは異なります。
自分にこれが合っているからといって、他の人も同じように出来るとは限りません。
私自身は、三種の神器と呼んでいる、耳栓、アイマスク、エア枕(すべて100均で調達可)を使って、ごく短時間の睡眠を取って、一度少しだけ体温が下がってから自分の身体を再起動かけると、かなりリフレッシュされて頭がしっかりまた動くようになります。人によってはちゃんとした布団じゃないと眠れないだったり、そもそも眠くならない(ずっと脳が興奮している状態が続いている)ということもあるようです。
初めて400kmを走った時は、おそらく自分もずっと脳が興奮していたのでしょう。ほぼ眠らずに一気に走り切るような感じでしたが、それはビギナーズラックというか、初めてだから出来たことのようです。次の400kmでは途中でだいぶ眠くなって仮眠を取った記憶があります。
慣れもあるのでしょうが、より平常心に近い状態で走るようになると、自然と眠くなったりということなのだろうと、自分の身体については自分ではそう思っています。

 ブルベはあくまでも「認定」であって、規定の時間内にゴールすれば「完走」が「認定」されます。また、当然ですが途中のコントロール(PC)を規定のオープン・クローズ時間内に通過していることも必要です。
途中までどんなに頑張ってもゴールしなければ、記録は「DNF」で、ACPには参加したことすら記録されません。
(ACP:Audax Club Parisienの認定を受けるのがACP公認BRMですが、ACPには認定者のみ記録を提出しています。国内ではAJの管理上、DNSやDNFも含めたリザルトを出していますが、公式記録にはDNSもDNFもありません)

 PC不通過(無人PCのレシートを貰ってきてない、そもそも立ち寄ってない)で、生まれて初めてのブルベが400kmで、ゴール受付でスタッフ一同が頭を抱えてしまったことがあったりします。もちろんDNF(失格)です。
ブルベを走る上でごくごく基本的な動作がまだ身についていない人が、走力があるからと400kmから参加した結果のひとつです。(ベテランでもたまに忘れる人もいますが、加齢によるボケとかネタとかでそれはまた別の話)

 いきなり400kmから走る、ということがどういうことか。
私だけで無く、他の経験者から話を聞いてみることをできればお勧めしたいと思う次第です。

 朝スタートの400kmだと、翌朝のスタート時間+3時間がゴール締切時間です。6時スタートなら翌朝9時、7時スタートなら翌朝10時。短時間の仮眠を途中入れてリフレッシュして安全にゴールした後は、ゴール地点付近でさらに仮眠したりして、そこから自宅へ戻ることになります。400kmのゴール後はとても眠いという人が多く、自走ができず輪行で帰ったり、車載で来られた方は、とりあえず車内で十分な仮眠を取ってから帰られるということも多いようです。
また、残念ですが、ゴール後に自宅までの移動の際に、事故に遭われる方もそれなりの数発生しています。

 400kmから先は、やはり別次元だと思うようにしたいところです。

 300kmと400kmの間には大きな壁がありますが、400kmが走れるようになると、そこで一旦リセットが効くぐらいの身体になって、翌日200kmブルベみたいなノリで、淡々と走るだけで完走できたりもするようです。
500kmがなくて、400kmの次は600kmというのは、よく出来ているなぁと思います。

 ここまで走るとSRです。別にSRを目指す必要もないですし、自分が走りたい距離までを走ればいいことだと思います。SRが必要なのは、PBPの参加資格がその年のSRだからというのがあるわけですが、そもそも国内でACP公認BRMが始まったのはPBP Randonneurへ行くための「手段」としての側面も強かったようです。
古くからの主催者は、PBPがあり、SRが必須であり、そこに拘る。それだけのことです。

 単なるロングライドの「距離別認定」という意味でのブルベ、またACP公認BRMの認定が欲しいという人は、200kmからスタートして、好きな距離まで走ればいいというだけでしょう。

 かつてはSRも「すごいなぁ」という遠い世界の話でしたが、今はちょっとロングライドを続けていれば、またコースをちゃんと選んで順次ステップアップしていけば、SRはさほど難しいものでは無くなりました。
私自身、始めた頃より走力は格段に落ちてますが、それでもなんとかSRを確保するぐらいは毎年続けてこれたりしています。(今年はどうなるか、また別の話)

 昔と違って、BRMの開催本数が少ないわけではありません。春から走り始めても、それなりにステップを踏んでSRを取ることも可能です。無理せず順次取得をお勧めしたいと思います。


 
↑読んだよ!とお一つ応援クリックしていただけると励みになります。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0