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尾灯の点滅問題 [BRM初心者講座]

2014.2.3(月)

 週末のブルベで「尾灯を点滅」させていた人がいたそうです。
そのブルベの注意事項として、次のことが明確に記述されています。

>尾灯の点滅禁止(常時点灯可能な物を確実に車体に固定する事)

主催者から提示された注意事項というのは、ブルベを走る人にとっては遵守すべき事項であり、
それが守れない人は出走する資格がありません。

ブルベの参加には、次の3つが適用されます。
・ACP規則を元にしたAJのBRM規定
・各クラブ個別の規定
・各BRM個別の規定

AJのBRM規定では、尾灯について次のように記載されています。
参考:BRM/AJ規定

第6条 装備
夜間走行のために、車両に確実に固定された前照灯と尾灯とを装備することが必要である。灯火は常に完全に機能することが必要である(予備灯火は強く推奨される)。少なくとも一つの尾灯は(点滅モードではなく)常時点灯モードでなければならない。上記の要求を満たせない走者は出走を許可されない。

 灯火は夕方から明け方まで点灯しなければならない。また他の視界不良の条件下(雨天、霧等)でも同様である。走者は、グループで走ろうと単独であろうと上記の要求を満たさねばならない。いかなる走者も各自の灯火を使用しなければならない! すべての走者は反射ベスト、反射たすき、反射肩掛けベルト(Sam Browne belt)、もしくは前後の見えやすい位置に反射素材がついた同様のものを着用しなければならない。

本夜間走行規則のいかなる違反をも、走者は即座に失格となる。

 ベル装着とヘルメット着用を義務付ける。400km以上では前照灯2つ、ヘルメットに尾灯(点滅可)を装着すること。


AJの規定では、少なくとも一つの尾灯は(点滅モードではなく)常時点灯モードでなければならない。とあるので、二灯以上の尾灯を点灯させる場合は、一灯を点灯(道交法で規定される反射板、尾灯としての役割)、他のものを点滅という運用も認められると解釈できます。
ただし、当然ですが、一灯だけで点滅は認められません。

国内のBRMは、元々PBP Paris Brest Paris Randonneur に参加する為に導入されたものです。
そのため、一部の主催者(主催クラブ)はPBPのレギュレーションに合わせて国内のBRMを行うようにしています。

参考:2011年のPBPレギュレーション

第8条: 自転車のルール 

2輪ないしは3輪で、ハンドルで操作、人力で推進、1つ以上のチェーンリングを有する車両を使用することができる。車両は幅1メートルを越えてはならない。これらの基準を満たさない車両はAUDAX CLUB PARISIENによって審査されなければなりません。 

トライアスロンバー、如何なる形状のエクステンションバーは禁止 

車両は前方100m、後方150mから認識されるのに十分に強力なライトを装備しなければならない。昼間であってもしっかりと永久的に固定され且つ、常に点灯可能な状態でなければならない。尾灯LEDの点滅は禁止。予備のライトは強く奨励される。 

暗い、薄暗い状況では単独、グループにかかわらずライトを点灯しなくてはならない。 

無灯火、十分でない灯火を事由としてコントローラーが停止させた場合、ライトの問題が解決されない限り、再び走行することは認められません。予備ライトがある場合、次のチェックポイントまでの走行は認められます。 

リカンベントのライダーにはフレームに固定されたチェーンガードやアウターより大きめのチェーンリングガードでクランクを保護することを奨励します。また、グローブに取り付けられるリヤ・ミラーを奨励します。最後に、地面から少なくとも1.40メートルの高さがあり、可能であれば先端に反射材をつけた、旗ポールの装着を奨励します。 

参加者は少なくとも400km、または600kmをPBPを走るのと同じ車両で走ることを奨励します。 

チェックの簡略化のために全ての参加者にはフレームナンバーが与えられます。フレームナンバーは終了までずっと自転車に固定されていなければなりません。 

レギュレーションに厳しいところでは、尾灯について二灯目であっても点滅は認めません。
ヘルメット尾灯については、尾灯(車体に固定されたもの)とは別という捉え方で、点滅可とするところもありますが、厳しいところではヘルメット尾灯も点滅不可とされるところもあります。
(補足:AJのBRM規定ではヘルメット尾灯は点滅可、各クラブ・BRM毎に点滅不可という指示が出る場合もある)

このあたりの適用は、AJのBRM規定の解釈の範疇でもありますが、最終的にはそのBRMの主催者(クラブ代表、またはBRM開催責任者)の指示に従うこととなります。

これらの規定は、安全に対する規定であり杓子定規に適用されるものではありません。規定には理由があり、コースや状況によって、主催者の裁量で判断されるものとなります。

尾灯については、個人の考えもあるでしょうが、鉄板(どこのブルベに行ってもたいがい大丈夫)なのは、
・車体に強固に固定された強力な赤色尾灯を2灯常時点灯
・ヘルメット尾灯は夜間常時点灯
という組み合わせでしょう。

海外へ行く人は、これにプラスしてアンクルバンドを左右両足とも装備しておけば、ほぼ大丈夫かもしれません。
私は最小限なので、アンクルバンドは右足片側だけですが、200kmでも早朝、夕方が暗い時期、またはトンネルを通過するコースでは装備しています。



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初めての人向け講習の需要はあるのか? [BRM初心者講座]

2013.9.25(水)

 タイトルどおりなんですが、200kmブルベの開催が近づく度に考えているような気がします。

 ランドヌール誌とか各種自転車雑誌の記事で、ブルベのことに興味を持った人が手軽に情報を入手できるようになってきているはずなのですが、実際に200kmを開催してみると、あまりよく分かってない人が結構いたりします。
講習とか準備しても、そういう人達は参加することなく、既にブルベをそれなりに走っている人の確認の場にしかなっていないようなこともあるようで、実際に行うにはもう一ひねり準備段階から考えないといけないのかもしれませんが。

 来年は新しいクラブとして少し違った枠組みでブルベに取り組む予定にしています。主催クラブでなく走るクラブとして、特定の顔のわかるメンバー同士で集まり、始めたいひとには誰かベテランがそれとなく教えてくれるような存在でいてくれたら。そんな風に思っていたりもします。

 主催担当者としては、1つのブルベを開催するだけで事前準備から事後の事務作業まで含めると、結構な時間を使っているので、あまり多くの人を対象とした講習会を複数開催することは難しいでしょう。でも、200km開催の少し前に、座学で1時間半程度の講習などがあってもよいかもしれません。
 あとはオフシーズンに距離の短い走行会というのもありでしょう。保険や準備の関係でこちらも対象人数はかなり限定的なものになるでしょうが、企画としてはありでしょう。

 全く見ず知らずの人まで広く受け入れられるかどうかはわかりませんが、身近なところで出来る範囲だけでも、そういう講習の機会を設けられないか、検討を始めています。


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BRM1005定峰200・初めて参加される方へ [BRM初心者講座]

2013.9.23(月)

 参加者あてに公式では別途ご案内する必要がありますが、一般論も踏まえてこちらでも書いておきます。

初めて参加される方へ(ブルベ自体が初めてという方へ向けての話です)

 ブルベは、参加者が自ら主催して行う形式のイベントです。それがどういう意味かを事前によく考えてからご参加下さい。ACP公認BRMは、フランスACP:Audax Club Parisien が認定するもので、その開催も参加もACPのルールに基づき、主催される国毎の交通法規などを反映して行われます。国内ではAJ:Audax Japan がACPへの窓口として認定情報の申請とりまとめをおこなっていますが、各クラブはAJ傘下にあっても独立して個別に運営しています。
ゆえに国内のAJ/BRM規定の他に、各クラブのローカルルールなどが適用される場合があります。

 ブルベ自体は、個人のサイクリングであって、定められたコースを経路沿いにたどって規定の時間内に完走できれば、認定の申請を行うことができるというだけの話です。公道走行ですので、全ての行動は参加者自身の判断が必要であり、誰も代わりに結果責任を取ることはできません。

 ブルベの参加にあたっては、ブルベがどういったものか事前によく学んで下さい。ルールについてはAJサイトに記載されているものが基本となります。まずはそれらを熟読して内容を把握して理解することが必要です。
国内での実施形態は、各クラブやコースによって若干手続きや手順が異なります。それらについては各クラブの説明を読んだり、わからないところがあれば事前に確認、またはスタート当日のブリーフィングで確認を参加者から行うことが必要です。

(これ以降は、BRM1005定峰200に特化した話として記述します)
 既にエントリーは締め切られていて、エントリーリストも公開されていますので、そこから先に何をすべきかについて列挙していきます。

・エントリーリストの確認/エントリー時の申請データの再確認
 エントリーリストの最新版を案内サイトから確認します。
 大切なことは、自分のスタート時間が5:30なのか6:30なのか?ということです。
 殆どの人はエントリー時の第一希望で割り当てられていますが、若干名第二希望となった方がいます。
 まず、時間について確認しておいて下さい。
 また、エントリーした際の自動返信メールで、各項目の記入の控えが手元にあるはずです。
 住所、氏名、その他の情報について、間違いが無かったか再度確認しておいて下さい。

 (例:住所が間違っていると、ブルベカードの返送で届かない場合がありトラブルの元になります)

・機材と装備の確認
 ブルベに参加するためには、国内の公道を走れる自転車が必要です。
 普段お使いの自転車のままで参加できるはずですが、万一、不足の装備がある場合は前日以前に装備を見直して必要なものは各自装着して使えるようにしておくことが必要です。
 ※権利放棄書にも、チェック欄を設けてあります。各自、事前にチェックしておいて下さい。

 200kmブルベでは次のようになります。
 必要なものは通常の公道走行をするための最低限のものでしかありません。
 あくまでも最低限の提示であり、各自が工夫して追加の装備を持つのが正しい理解です。
 ・前照灯 (確実に車体に固定されているもの)
 ・尾灯  (同上、常時点灯モードであること、点滅不可)
 ・ベル
 これらは、道交法で必要なものと同じです。
 道交法では尾灯ではなく、反射板(赤色のリフレクター)のみでも可能ですが、尾灯必須とします。

 本人が身につける物として、法規上は必須とはなっていませんが、自分の身を守るために必須です。
 ・ヘルメット
 ・反射ベスト(安全上の理由からローカルルールで反射たすきは不可)

当たり前のことですが、ヘルメットを忘れた場合は参加できません。
車載参加の方は忘れ物が無いように特に注意して下さい。
シューズを忘れるとかいろんな事例があります。


・当日の受付方法
 スタート時間の1時間前から30分前に行われるブリーフィング開始前までが受付時間です。
 必ずこの時間に受付を済ませるようにして下さい。
 各組60名の受付を30分で行います。迅速に間違いなく受付を行えるようにご協力お願いします。

 受付に必要なものは、各自プリントアウトした「権利放棄書」です。
 自宅を出る前に、自転車装備のチェックなどを済ませてレ点をつけておきます。
 また内容をよく読んで、同意できる場合は、署名・捺印をしておきます。
 同意できない場合は参加できません。必ず事前に確認しておいて下さい。

 受付に並ぶ際、手元に同意書を出して準備しておいて下さい。
 ウェーブスタート(時間ずらし)で、受付順に割当ますので、グループで一緒にスタートしたい方は、全員揃ってから一緒に並んで受付をして下さい。先頭の方が何名まとめて参加するか告げていただけるとスムーズに割当てられます。
 受付では、ご自分の出走番号と名前(フルネーム)を明瞭にスタッフに告げて下さい。
 受付にあるリストからご自分の名前を確認して、ご自分の出走サインを記入します。
 スタッフが同意書と引き替えにブルベカードをお渡しします。
 その場で、出走番号のみブルベカードに記入していただきます。

 その他の記入項目は、横にずれていただきA4版のクリップボードとボールペンを貸し出しますので、それを使って個別に記入して下さい。記入例はクリップボードに挟んであります。
クラブによっては記入項目を全て英字記入とされるところもありますが、定峰200では次のようにしています。
ブルベカードの返送に使う住所、漢字氏名などは、エントリー時のデータをそのまま使います。また、ACPクラブコード(所属クラブ)についても、エントリー時のデータをそのまま使うことになります。クラブコードについてはエントリーリストで既に公開しています。万一修正が必要な場合は、個別にメールにて事前連絡下さい。

参考:これは春の定峰の時のもの
BRM413_AJcard_omote_k1.jpg


・ブリーフィング
 スタート時間の30分前からブリーフィングを行います。
 細かい注意事項を口頭で説明しても、全てを記憶することは難しいと思うので事前に伝えられることは、一斉同報メールにて各参加者へ案内を送ります。そちらを事前に読み込んでおいて下さい。

 ブリーフィングは全体向けのものを行ったあと、初めてブルベに参加する方向けのものを追加で行います。
 わからないことがあればブリーフィング時に質問をして理解するようにして下さい。
 あとから「わからなかった」と言われても、誰もフォローしようがありません。

・車検(装備品のチェック)とウェーブスタート
 ウェーブスタートは、スタート見なし時間を10分刻みでずらしています。
 公式のスタートが5:30の場合、次のようになります。
 ・W0 5:30
 ・W1 5:40
 ・W2 5:50
 ・W3 6:00

 車検は、BRMルールとローカルルールに基づき装備品の有無をチェックします。
 各ウェーブのスタート見なし時間の約10分前から行います。
 スタッフが全体へ向けて声をかけますので、通路上ではなく緑地または砂利の上でチェックを受けて下さい。
 前照灯、尾灯を点灯して並んで下さい。
 通路上で立ち止まることは禁止です。周囲の交通の邪魔にならないようにご協力願います。

 装備が不足していた場合は出走できません。
 列から一旦外れてもらって、他の参加者のチェックが終わってからスタッフに再度チェックを受けて下さい。
 主催者は装備忘れに対しての貸し出し品などは用意していません。
 出走できない場合は、ブルベカードをスタッフに返却してお帰り下さい。記録上DNSとして扱います。

 スタッフは各チェック項目を確認していきます。
 前照灯、尾灯は点灯した状態でチェックを受けて下さい。
 前照灯は、道交法および関連規則の基準に合致しているものが必要です。
 (注:各都道府県:定峰200では東京都、埼玉県の公安委員会が定める道路交通規則が適用されます)

 概要としては、前照灯は白色または淡黄色で夜間10mの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度を有するもの、尾灯は赤色で夜間後方100mの距離から点灯を確認できる光度を有するもの、になります。

 光量や照射範囲については、スタッフのチェックは目視できちんと行えませんが、
 あきらかに不足とみなされる場合は出走不可とします。

 また、ベルについては「ベルは?」と聞かれた際に、ご自身でベルを鳴らして下さい。
 ベル装着場所は参加者毎の工夫でかなり多岐にわたり、スタッフが目視で探すのは時間がかかります。
 ご協力をお願いします。
 ベルは自転車用のベルを装備として使って下さい。熊鈴のようなものはベルとしては認められません。

・各チェックポイントと通過チェックの通過記録
 ブルベは経路通りに走ることが必要です。
 正しく経路通りに走っていることを、途中のチェックポイント(仏語の略語でPCと称する)では、通過証明が必要となります。各PCにはオープン・クローズ時間があり、オープン時間からクローズ時間までの間に、そこを通過する必要があります。
 国内のブルベではこのチェックを指定されたコンビニでのレシートで代用することが多いです。定峰200の場合、PC1、PC2、通過チェック(後述)、PC3、Finishと、5枚のレシートが必要です。
各PCに到着したら、何か買い物をしてレシートを受領して下さい。そのレシート上の日付、時刻が通過証明となります。
 この通過証明は、ゴール受付時点でスタッフが確認し、ブルベカードへ転記していきます。
(有人PCとして現地にスタッフが待機している場合は、その場でブルベカードへ時刻とスタッフ個人の確認サインを記入していきます)

 無人PCは国内でブルベを開催するための知恵の一つですが、個人商店(ヤマザキショップなど)の場合はレシート時刻が大幅にずれていたりすることがあります。大手のセブンイレブン、ローソンなどではPOS管理もあるため、レシート時刻がずれていることは無いと思いますが、念のため各PCでレシートを受領した際には、正しい時間でレシート時間が記載されているか確認する癖をつけておいて下さい。万一クローズ時間を過ぎているといった場合は、その場で主催者へ電話連絡して事前に確認を取るか、第三者(別の参加者など)に時刻が間違っているということを確認したうえで、ゴールでスタッフに申し出て下さい。

 定峰200では「通過チェック」を公開した形でPC2とPC3の間に置いています。和紙の里の売店は個人商店のようなものでレシート時刻は出ますが、ずれていることもあり、また前後の行動(参加者の昼食休憩)の自由度を高めて分散できるように、あえて「通過チェック」としています。ここではオープン、クローズ時間はありません。
レシートは必要ですので、売店で何か買い物をして下さい。

・Finishのコンビニでの行動
 最後のコンビニでは、そこでのレシートをもってゴール時間とします。
 安全な場所に自転車を停めて必ず買い物をしてレシートを受領して下さい。
 人数が多い場合は、自転車を重ねて停めるなど周囲の邪魔にならないようにご協力願います。

 ゴール受付はコンビニ駐車場で行う予定です。
 スタッフが待機していますので、必要なものを準備して並んで下さい。

 ・ブルベカード
 ・レシート5枚(PC1、PC2、通過チェック、PC3、Finishの順番に並べておくこと)
 ・メダル希望の場合は1000円札1枚(両替はしません、必ず1000円札で)

 スタッフがレシートの通過時間を確認してブルベカードに転記して、すべてOKなら完走となります。
 スタッフから告げられた完走時間を、ご自分でブルベカードに記入していただき、
 メダルが必要か否かのチェック欄に、Xを記入します。(Xというのは欧米でレ点の意味)
 それらが正しいことを確認して、サイン欄に日本語の漢字フルネームを楷書体で読めるように記入して終わりです。

 ブルベカードはスタッフが預かります。
 レシートはその場でお返ししますので、ご自分でお持ち帰り下さい。

以上をもって、当日は終わりとなります。

 ブルベカードの返送(および希望者へのメダル返送)は、しばらく先になります。メダルが国内に在庫がない場合はフランスからの到着待ちになるので長期間待つ場合がたまに発生します。このあたりは案内サイトや一斉同報メールなどで別途案内をしますので、気長にお待ち下さい。


・リタイアする場合の連絡
 万一、途中でリタイア(DNF)して帰還される場合は、ブルベカードに記載されているスタッフまで必ず本人が電話連絡をするようにして下さい。
他人の伝言は間違いの元になるのでご遠慮下さい。過去に「○○さんがリタイアしています。」と連絡があったあとに、本人は走行を続けていたということもあります。

 リタイアの連絡がなぜ必要かというと、スタッフは出走した全員がゴールに帰ってくるか、リタイアしたかを確認するまでは待機を続けることになるからです。Finishのクローズ時間を過ぎてもゴールに向かって走り続けている、という場合はクローズ時間を過ぎた頃までに必ず電話連絡をお願いします。
1時間程度であればスタッフは待機して待ち続けることもありますが、かなりの長時間になる場合はDNFであることを確認して、スタッフは撤収することもあります。いずれにしても行方不明のままになることは避けていただきたく、ご協力をお願いします。


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経験のなさを他人の知識で補えるか [BRM初心者講座]

2013.9.18(水)

 自分が教わる方でも、教える方でも、このあたりは永遠のテーマのひとつかもしれません。
経験していないことをどうやって学び、自分の知識として取り入れ実戦で活用していくのか?

 完成形というわけではありませんが、それなりにブルベを走っていれば自分なりの装備のパターンや各種判断基準が身についてきます。日々進歩するかもしれませんが、始めたばかりの当初から比べると穏やかな進化になります。

 他の人の経験から来る「こうするといいよ」的な知識は、実はとてつもなく役に立つものですが、受け手がそれを理解できるまでのレベルに来ていないと受け取ることはできません。またそのレベルに達していたとしても、自分で考えて積極的に理解しようとしない限りは無理でしょう。たくさんの事例やヒントが目の前に置かれていても、気づくことなく流してしまう人が大半です。

 リスクを関知する能力が低ければ、「たいしたことない」「じぶんには要らない」みたいな感じで高をくくり、何も対策を取らず考えることも無く、やり過ごしてしまうことでしょう。

 自分の求めるスタイルに合うか合わないか、という判断は必要ですが、どうして他の人はそんなことをやっているのだろう?という事例に対して理由を探る視点がもてるかどうかでも、大きく違うのかもしれません。

 分かりやすい例を言うと、200kmのブルベを初めて走るような人の大半が、小さな尾灯を申し訳程度につけた状態でスタート地点へやってきます。CR2032あたりのボタン電池を使った小さな尾灯。
200kmで殆どが昼間の走行ならそれでいい。そう思って割り切っている人もいるかもしれません。そこは個人の判断です。でも、ファストラン志向でg単位で装備を削って速さを求める人ならそれもありでしょうが、何度かブルベを走っている人で、そんな小さな尾灯だけで走っている人はごく少数派になっていきます。

 そんな小さな尾灯では役に立たない、ということを経験的に知っているからです。
(車を自分で運転しない人は、このあたりあまりよく理解しにくいかもしれませんが、自転車で誰かの後方を走っていても気づける人は気づけます)

 実際に大型の尾灯に付け替えるタイミングは人それぞれでしょうが、経験者の話を聞いて「それなら最初からつけておこう」という人と、夜間走行や昼間でも荒天で視界の効かない国道を怖い思いをしながら走ってようやく気づいて「やっぱり変えておこう」という人と、どちらが自分にとって望ましい姿かを考えた方がよいと思うのです。

(補足)
大型の尾灯がついていたからといって後方からの追突事故を完全に防げるということにはなりません。
ただし後方からの追突事故は公道上ではそれなりの件数発生していて、実際にブルベ中でも起きています。
そうなったときに「自分の装備で事足りていたか?」という事を事後になって反省するのでは遅いのです。

 リスク管理は「たぶん無いだろうけど万一の事態に備える」ことが必要になります。どこまで見越して装備を持つか、余裕をもった走行計画を立てるか、またそれが実現できるような走りを日頃のトレーニングで身につけておくか、そのあたりも最終的には人それぞれ、という言葉でしか言い表すことができません。

 スペアが足りなくて機材トラブルでDNFというのは別に恥ずかしいことではありませんが、どうしても完走したかった、とか思い入れのあるブルベでは、それなりに後悔することになるでしょう。
何度同じトラブルに見舞われても、同じような装備しか持って無くて自分で対応できない、という人もいます。それはそれでその人のスタイルだと思うので尊重したいとは思いますが、傍から見ていると「勿体ないなぁ」という気がするのも、またひとつの見方です。

 自分自身、「学ぶ」「まねぶ」というところがそれほど得意な方ではないので、学ばない人の気持ちが理解できないこともないですが……2回やったら、3回目は防げるようにしよう、ぐらいの判断基準は先に決めておいてもいいのでは?と思ってしまいます。

 ちょくちょくここで書いているのは単なる事例のひとつでヒントにしか過ぎませんが、それなりに走ったうえでの経験に基づいた装備だったり諸々の話だったりするわけです。ここに限らず先人の知恵はうまく拝借して、自分のものとして消化していく方がスマートだと思う次第です。

 ここでも記事によっては玉石混淆でしょうが、
あたりのカテゴリーで書いている記事はそれらの多少のヒントにはなると思います。

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なにも考えずに参加する人 [BRM初心者講座]

2013.9.15(日)

 自分で考えて自分で判断する。当たり前のことですが、それができない人も結構多いようです。

 「自己責任だから」という一言ですべて放置プレイでいいかというと、そういう訳にもいかないこともあり、傍目に見ていてウーン(-_- )とうなってしまう場面に出くわすこともよくあります。

 たまにゴール受付で、PC不通過で失格となる人がいます。おそらくこれは今に始まったことでなく、昔からよくあることなのでしょう。今ではいっぱしのランドヌール然としている人が、最初の頃はとんでもない間違いをしていたとか笑い話で聞くこともよくあります。

 それでも、友人、知人にブルベを走る人がいたり、そうでなくても自分で探せば、いまや専門誌や雑誌の特集記事、個人のブログやSNSなど、いたるところにどうやって走っているか、多くの情報が転がっています。
(玉石混淆すぎて、中には嘘に近いものも混ざってますが、その中からマトモそうな情報を取捨選択する力も必要です)

 公式に提示されているルールだけでは、読み取りにくいものもあるかもしれませんが、たいがいの場合、ブリーフイングの最後に「質問は?」と主催者から訊かれているはずです。その最後のチャンスを逃してしまえば、主催者側からは何も手を差し伸べることはできません。


BRM/AJ規定より引用

第8条 コース、チェックポイント、ブルベカード

スタート時に、走者はブルベカードと、経路とチェックポイントの位置を示したキューシートを受け取る。走者は経路に沿って走らねばならない。もし経路から離れたら、経路から離れた地点まで戻って経路に復帰しなければならない。主催者の指示のない場合にはショートカットや迂回路を通ってはならない。走者はブルベカードに印を貰うためにチェックポイントに止まらねばならない。主催者は経路沿いに未公表のチェックポイントを置くことができる。これは通知された経路を走行することを参加者に守らせるためである。

主催者はAudax Club Parisienのブルベカード、もしくはACPに承認されたローカルなブルベカードを使用しなければならない。

引用おわり

 国内のブルベでは、有人PCの設置よりも(主催者の負担が大きくなりすぎない為)コンビニなどを利用した無人PC設定で、通過証明をそのコンビニのレシートの日付・時刻で代用する方法が比較的多く使われています。
東京近郊だと、AJ宇都宮は有人PCを設置していることが多いですが、そこですら全てのPCが有人ということはなく、無人PCが活用されています。
(追記:PCというのは point de contrôle ポワンドコントロール、フランス語です。英語だとチェックポイントとなり、ブルベの経路を正しくたどって走るかをチェックするための場所ということです。PBPとかへ行くと単に contrôle コントロール と呼ばれているようです。)


 クラブによっては最低限での少数スタッフでの運営を是としているところもあり、全てが無人PCというところもありますし、場合によってはゴールの受付も無人で、参加者が自分で記入して郵送するなど、工夫されているところもあります。

 ブルベを実際に走っている人に取っては、無人PCはわりと常識に近いものですが、それすらも「知らなかった」とゴールでこぼす参加者がいます。全くの初めてで誰も友達もいない、という場合もあります。ゴールで初めて、主催スタッフから、事細かくブルベカードと無人PCとレシートの関係の説明を聞いたり、ということもあるわけですが、だからといってそこで救済措置はありません。PC不通過は失格となります。
「次回はちゃんとPCを回ってください」という話をゴールでするのは、スタッフとしてもやるせないものがあります。

 一部の人達は「自己責任」という言葉を厳格?に捉えすぎていて、放置プレイをしておいた方がよいという考え方もあるでしょう。人それぞれ考え方が違うので、そういう人には言っても仕方ないでしょうが、友人だったり知り合いだったり、また、同じブルベという自転車遊びをする仲間として、気づいたら「見て見ぬフリ」をするのは、どうなのかな?とも思ったりします。

 自分がスタッフ側に回る前でも、たまたま近くを走っていた人が、
・キューシートを持っていない(存在すら知らない)
・PCでレシートを貰うことを知らない(PCで止まることすら知らない)
・ウインドブレーカーを着たら反射ベストが下になってしまっている(反射ベストの用をなしてないので本来失格)
というようなことに出くわすことが何度もありました。

 その都度、お節介かとは思いつつ、声をかけたりしてきていますが・・・

 人間だれしも最初は知らなかったり、抜けていたり、ということはあります。
本来はそういうことの無いようにちゃんと事前に調べてから参加するのが筋だとは思いますが、だからといって、そういう人を見かけたときに放置したままでいいかというと違うでしょう。

 周りが手を差し伸べてあげる必要は絶対ではありませんが、ランドヌール気質としては、困っている人がいれば手を差し伸べるというのが基本ではないかと思います。それをアテにしすぎている人は軽蔑されるかもしれませんが、それでも必要な場合は手を差し伸べるのです。


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道路は刻々と変化する [BRM初心者講座]

2013.9.10(火)

 ブルベを走るのに必要な情報はキューシートです。公式には主催者からキューシートが公開されて、それをもとに走ることになります。

 このキューシートの精度や鮮度は、各主催クラブ、またキューシート作成の担当者毎にかなり違いがある(個性がある)のが現実です。何度か走っていたり、スタッフから話を聞いたりしていると、そのクラブや担当者のブルベに対する考え方が滲み出ていたりことが腑に落ちたりします。

 実際にブルベでもサイクリングでも自分で同じコースや道路を走っていると、ちょこちょこ変化していることに気づきます。気づきにくい人もいるかもしれませんが、実際にはかなりいろいろ変わっています。そして、ブルベの場合、キューシートの修正も必要になることもそれなりにあるのです。

 道路形状が変わった例を参考までにあげてみましょう。

 少し古いですが、東大和駅周辺の青梅街道(都5)です。
青梅街道を東から西へ進むには、小平の方から来て、┳青梅橋S で右折が必要です。
ここは道路のペイントと信号パターンが変わりましたが道路形状は変わっていません。
問題は、次の次の信号となる ┫またはYとなる南街四丁目S です。
higashiyamato1.jpg

元々は、青梅街道(都5)としてここはストレートに直進して走れる場所でした。
が、道路形状が変わって、歩道が膨らんで┫で左折のように曲がって行くのが青梅街道と変更されています。
上から写真で見ると、左へ曲がる方が「道なり」に見えないこともないですが・・・
higashiyamato2.jpg

進行方向からの視点だと、こう見えます。
以前普通に走っていた人ほど、たまたま初めてここを通過すると、何の気なしに直進してしまい青梅街道ではなく、他の道へと進んでしまうことにつながりかねません。
higashiyamato3.jpg

この場所は、もう道路形状が変更されてからだいぶ経っているので間違えることはないでしょうが、web地図や紙の地図に反映されるまでのタイムラグがあるので、1年以内で変わっていたりすると初見プレイになってしまう場合もあります。

ルートラボで見ると、このくらいの詳細で出していても道なり直進に見える。
higashiyamato4.jpg

道ぴたモードで引くと、あれ?ここ曲がってるのかな?ということを意識させられる。
higashiyamato5.jpg


元々、曲がるポイントとしてキューシートにこういう場所が書いてあれば、事前の予習でも検知しやすいのでしょうが、単なる通過ポイントでキューシートに記載されていないところで右左折が必要になっていたりすると、ミスコースしやすくなります。

このあたりをどうやって防ぐか?というところは、各参加者の工夫次第です。
一番簡単なのは、GPSでルートを仕込んでおいて、時折自分がルートから外れていないか?ということをチェックするような方法です。
GPSが嫌いな人であれば、キューシートをもう少し自分で詳細に分解して、適当なタイミングで正しいルートを通っているか現地の情報と照らし合わせてチェック可能にしておくなど、別のやり方もあるでしょう。

ちなみに、これは過去ブルベで使われたことのあるルートですが、青梅橋Sで右折したあと都5を直進で次のポイントまで、という指定になっているので道路形状が変わっていたとしても「都5を走っていく」こと、また大きな地図で自分がどこの位置を走っているか事前に予習したとおりに走れているか?をチェックしていれば問題はなく走れることになります。

距離が短いもので割と馴染みのあるような場所でも、こういうことはたまに起きています。
「ちょっと道変わったよね」というのは、直前に自転車で実走してみて初めて分かることがあります。
そこからキューシートの修正をかけるとなると、開催日直前近くでいろいろと修正作業が発生するわけです。

開催1年以上前にコースを作ります。その時は問題なくても、開催日近くだと道路工事で通行止めや道路形状の変更がされていることも多々あるのです。

実際どうなっているかは、その時の「現状優先」です。
だから、キューシートは全ての記載項目が正しいわけではありません。
同じポイントでも、そこに記載されているいくつかの情報から、どう進むべきか?というものを読み取る力が必要になります。わからなければ前後のポイントから割り出すことも必要ですし、ポイントとポイントの間でどう走っているか空間認識能力のようなものも本当は重要だったりします。

あと、道路標識、看板も結構頻繁に変更されますし、コンビニもつぶれます。
そのあたりも知っておくと路頭に迷わず済むかもしれません。

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暑さ対策・ロックアイスの活用 [BRM初心者講座]

2013.7.5(金)

 過去どこかで書いていたと思うのですが、自分の過去ログからこんな感じなのを発見。

 よほどの山岳ブルベでもないかぎり、たいがいコンビニは点在しています。
無補給区間になりそうなところは、あらかじめコース沿いにどこにコンビニがあるかは調べておく方がよいです。

 その上で、ですが、暑い日のブルベにはコンビニのロックアイスが欠かせません。
何も装備がないところで使うには、一番便利なのがロックアイスの大袋(1.1kg入り)あたりです。
チャックがついているので、ボトルに補充した残りは買ったままの袋で空気を抜いてピッチリ閉めれば、即席のカチワリ氷袋になります。

 参考の過去ログにも書いてますが、ダブルボトルいっぱいに氷を補充しても、ロックアイスの大袋なら半分ぐらい氷が余ります。この氷を私はジャージ背面の真ん中のポケットにそのまま突っ込んで腰から冷却しています。
冷却で一番いいのは首筋とか腿の付け根ですが、首筋に氷を乗せて走るのは至難の業で、腿の方は漕ぎながらだと無理ということもあり、お手軽な方法としてジャージ背面ポケットに入れています。
(空気をちゃんと抜くことと、チャックをしっかりしめて水漏れしないようにすることが必要です)

 これが結構馬鹿にできなくて、走りながら全身のクールダウンによく効きます。腰が冷えすぎて困る場合は、タオルハンカチなどで氷袋を巻いてからポケットに入れて調整します。
しばらくすると氷が溶けて一部が水になって氷水となります。氷水のまま走ってるとさらに溶けやすいので、適当なところで一旦停まって、ボトルに補充するか、そのままガーッと飲んでしまったり腕や足に「かけ水」としてかけてしまいます。

 「かけ水」を使う時は、前のボトル(20オンス)にスポーツドリンク、後ろのボトル(16オンス)に氷水を入れて使い分けています。ボトルのサイズを変えているのはたまたまですが、その方が間違えずに分かりやすかったりするので、いつも同じようにセットしています。蛇足ですが、こういう小さなことでもいつも同じにしておくことでミスを防ぐことにもなります。スポーツドリンクを頭からかぶると大変だってことは分かりますよね(^^;)

 暑い日の走行では腕は半袖ジャージのまま出しっ放しにしておくことが多かったのですが、白いUVカットのアームカバーを使って、さらにそれに対して「かけ水」をすることで、走行による風で水分が蒸発して冷却されるようにする事がそれなりに有効だということも分かりました。日焼け済の場合は腕を出しっぱなしにしていることもありますが、まだ日焼けする余地が残っているような時は、素直にアームカバーを使うようにしています。
日焼けは夜になって、体力の消耗を一気に感じることもあったりして、あまり得策ではありません。

 気温や湿度、また太陽の照りつけ具合によって、やられ具合はだいぶ異なります。普段2時間ずっと乗車しっぱなしでOKの人でも、少し早めに1時間半とか1時間でストップして5分でも日陰で休んで体調の変化がないか、探るような乗り方をした方が、熱中症にならずに走り続けることができるコツかもしれません。

 午前中から熱中症気味になった場合は、オーバーナイトの600kmは保たない可能性が高いです。
一気に飛ばすのではなく午前中は少し休憩多めに様子見をしながら走り続け、お昼から午後2時ぐらいの間には途中で大休止を入れて、涼しい屋内で昼食をゆっくり目にとるなど日差しから逃げることも有効です。
時間に余裕がある人は、軽く食事を取ったあと、シエスタなんてのも有効です。寝やすい木陰があると最高。

 いずれにしても、梅雨から初夏にかけてのこの時期、身体が暑さに慣れていない人の方が多いです。
無理せず走り続けるためには、それなりの工夫が必要だということを覚えておいて自分なりに試してみることが有効だと思います。


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コースの予習はどこに重点を置くべきか(完走できるか・できないかの瀬戸際) [BRM初心者講座]

2013.6.20(木)

 ブルベのコースはそれこそ千差万別で、走者の脚前も同じくだいぶ異なります。
そうは言っても、大目的は「時間内に完走すること」であることは共通事項ですので、そういった観点からコースの予習もするべきなのだと思います。

 私は(三味線弾きでなくマジで)遅いので、たいがい最後尾に近いところを走っています。ちょっとしたトラブルや、少しばかり観光とかグルメポイントで時間を使い過ぎると、途中のPCでタイムアウトを意識する必要があったりします。そういう観点から見た場合の、「堅い」予習方法について少し書きたいと思います。

 ブルベのコース情報はキューシートで提示されますが、自分でルートラボを引いてみるなどして、各PC間毎の濃淡をまず確認しておくことが最初にやるべき作業となります。自分の脚前に対して、それぞれの区間がどの程度で走ることができるか所要時間を予想しておくわけです。
上りに強い人であればアップダウンが多少あっても、さほど平均速度は落ちないかもしれません。平地に強い人であれば信号ストップの回数にもよりますが平地で大きく距離を稼げる人もいるでしょう。そのあたりは過去のツーリングやブルベの経験から自分の走力の実力として、ある程度は所用時間の予想がつくようになっていると思います。

 天候に恵まれた場合の想定で、ゴールまである程度の余裕時間を残して到達できるという予想がつくと、そこで安心してしまうこともあるでしょうが、私の場合は「最終区間をどうやって走るか?」というところを重点を置いて、さらに確認するようにしています。
その理由は「ブルベでは何が起こるかわからない」という前提があるからです。途中で荒天になる、体調が悪くなる、メカトラなどで移動速度があげられなくなる、等々、何らかの要素があって遅くなることは往々にしてあるからです。

 具体的には、最終PCからゴール地点までの距離と所要時間、最低必要となる移動速度について再計算しておきます。ブルベの距離は200kmなら200kmぴったりということはなく、たいがい数キロ長くなっています。短いと1km程度のこともありますが、たまに10kmを超えるようなコースもあったりします。これが曲者で最終PCのクローズ時間までいると、場合によっては(貧脚だと)どんなに頑張ってもゴール地点でタイムアウトしてしまうことがあるのです。

 手元に過去のキューシートの現物が無いので具体的な数値は若干誤差があるかもしれませんが、過去一番苦労したのは、2010年のBRM406宇都宮300でした。
最終PCはPC5(馬頭)で266.6km地点、このPCのクローズ時間はメモによると7時スタートだと日付が変わって翌日00:44だったそうです。
(公式のPCオープン・クローズ計算機で計算しなおすと翌日00:48と出る)
そしてゴールとなる宇都宮森林公園はPC5から45.2km先の311.8km地点。

PC5のクローズ時間いっぱいまでいると、PC5〜ゴール地点までは45.2kmを2時間16分で走る必要があります。
平均時速15km/hだと33.4km分の時間しかないわけで、必要となる移動速度は最低で19.94km/hなので20km/hが必要となるわけです。

この日の宇都宮300は前半の途中、勿来に行くまでの山の上で雪が降りずぶ濡れになったあと、復路の夜の峠越えで手足が凍り付き、といった具合でした。
山間部で途中少し雨に降られるぐらいは覚悟していましたが、雪までは備えていなかった人が多く、中盤から後半にかけてはだいぶやられた状態で走っていたことを覚えています。

そしてPC5からゴールの宇都宮森林公園までの区間には、大きな峠越えこそないもの細かいアップダウンが多い八溝グリーンラインを通るのです。最後はラスボスの鶴カントリーも待ってます。獲得標高というスペックからだけでは見えにくい地味なつらさがある区間でもあります。(徳次郎Sの前後など信号も多少あって、よく引っかかります)

事前にコースプロフィールをちゃんとチェックしておけば、この区間を20km/hで楽々と走れる人であればいざ知らず、自分の場合は通常の走行ではいいとこ18km/h程度までしか出ないだろうという予想がつくわけです。
18km/hから逆算すると、45.2kmの所用時間は2時間31分となります。
16km/hから逆算すると、同じく所要時間は2時間50分となります。安全策はこちらでしょう。
パンクなど途中でのトラブルがなかったとしても2時間50分前である、0:10にPC5を再スタート切るぐらいでないと危ないという時間のとらえ方を事前にしておく必要があるのです。

さらに言うと、PC5のクローズと再スタートの時間の関係がそうなるということは、PC5の到着時点で1時間の貯金が必要になるという意志をもってPC4〜PC5の間で走る必要が出てくるわけです。

ゴールまでの余分な距離があって、途中の天候要素で身体にダメージが蓄積されて、さらに時間もおしてきている。
そんな状況になると、最後は結構サバイバルになるのです。

この時の実際は(ウェーブスタートでの時間を補正してずらすと)PC5を00:03に再スタートして、ゴールは02:34と2時間31分かかっています。移動平均は丁度18km/hですがこの区間は本気で踏みました。(当社比)
ワントラブルで30分失うと終わる、という認識の元に珍しくリミッターを外して本気で走ったわけですが、それでも18km/hまでしか出すことができずで終わりました。(実は今よりもだいぶ走力があった頃の話です)

最後の区間でもし途中でミスコースしたら?それは即終わりを意味します。往路と復路で違うのであれば、そのポイントをどう曲がるべきか。同じであっても初見の場合は往路と復路で見え方が変わるので、往路の時点で後ろを振り返るなどして、景色を頭のなかにたたき込んでおくなど、ミスコースを防ぐためにできることは沢山あります。昼間と夜とでは当然見える景色も変わります。目印は自分の目で確認しておくことが必要です。
(余談ですが、こういった所要時間のシミュレーションや景色の見え方のチェックを現場でするというのは、元がダイバーあがりで学生時代ガイドダイバーのようなことをしていたりという経験から来ているかもしれません)

この時はどこで信号に引っかかる可能性があるか。ということも含めて脳内シミュレーションを事前にしておくことによって、18km/h以上の移動は無理という自分なりの判断があって、それを元に残り時間をどう使うかということを実際の本番当日にPC4やPC5で確認しながら走って、なんとか完走(認定)をすることができた次第です。脚が無いなら頭を使うしかないのです。

本来、2時間ぐらい余裕がある走り方をしていれば、ここまでシビアに考える必要はないでしょう。
でも、走力が無い人や、途中で天候要素や様々な理由で時間を失う場合を考えると、こういったところを事前にしっかりと押さえておくことで、きっちり完走することにつなげていけると思うのです。
最後の区間の走行イメージをしっかり作って、それができるように全体を組み立てていく。途中の時間の使い方、がんばり方、休憩の仕方、全ては計画どおりに行かないにしても、ベースラインを作っておくことで、様々な変化に対して臨機応変に対応できるわけなのです。

(おまけ)
個人的には、最終PCをほぼクローズ時間に通過できたら普通に走ればきちんと完走できるコースが望ましいと考えています。自分で引くコースについては、そういう観点でチェックをして余分な距離が長くなりすぎないように、また最終区間が厳しくなり過ぎないように配慮しています。
もちろん、そんなことは考える必要が無いという判断をする主催者やコースがあってもよいでしょう。発着地が固定しているコースであれば多少の距離の誤差はどうしても発生してしまいます。長い分には認定を受けるコースとして問題はありません。
が、そういう罠が隠されているコースかどうかは、事前にキューシートや地図読みから参加者がしっかり予習して見抜くことが大切なのだと思います。


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ブルベの練習ってあるの?(初めてのブルベの場合) [BRM初心者講座]

2013.3.26(火)

ブルベの練習ってあるの?
と、たまに訊かれることがあるのですが、実際のところどんなものでしょう。

ACP公認BRMということで言えば、200km、300km、400km、600kmというのが主要なブルベですが、200kmを走ることが300kmにチャレンジする前のステップとなり、300kmを走ることが400kmにチャレンジする前のステップとなる。
基本的には、そういうつながりでひとつずつ距離を伸ばしたものにチャレンジしていけば自ずとクリアできるような仕掛けになっているように思えます。

最も最初の段階である200kmにチャレンジするといった場合、どこまで練習が必要になるのでしょうか?

実は200kmとか同じ距離でも、それぞれのコース毎に難易度の差はかなりバラツキがあります。
山岳がとても多いコースや、気温変化が激しいコース、またコースというより当日の天候の移り変わりによる厳しさによる差はかなり大きなものがあるでしょう。

ブルベは元々、ロングライドの距離認定みたいなもので、規定時間以内に定められた距離を走り切ったことを「認定:Brevet」して貰えるわけです。
200kmなら13時間半という制限時間があるわけですが、おおまかに言うと1時間あたりの移動距離は15km。
休憩している間も時計の針は進み続けますが、平均時速15km/hをキープできれば時間内に完走できます。

信号が少なく、平坦基調の200kmであれば、普通のロードレーサーやランドナーに乗ってその200kmを走ることは、さほど難しいことではないでしょう。
そう思える人が、まずは200kmへの参加資格の最低条件をクリアしていることにつながるような気がします。

200kmという距離を過去に走ったことがある・なしで言うと、なしだと参加してはいけないのか?
と、気にされる方もいると思います。
実際には、200kmを走ったことが無くてもブルベに参加することは可能です。
ただ、ブルベ自体は参加者が「自己完結したサイクリスト」であることを前提条件に置いています。
明確に排除するような具体的記述はないでしょうが、基本的にソロで200km完走できるだけの能力(体力、知力、自転車の整備やトラブルへの対処、等々)があることは当たり前のこととなります。

私もあまり自転車経験が無いうちにブルベを走り始めた方なので、あまり偉そうなことは言えないのですが、本や雑誌、またネットの情報がたくさんあると、気軽に参加できるように思う人が多いかもしれません。
でも、それはちょっと待った!

本当に参加できるかどうかは、自分で判断しなければならないのがブルベの世界です。
参加する、というより、準備から終了までの間で何度も何度も自分の判断が試されます。

・エントリーできる準備が整ってなければエントリー見送りの判断をする
・エントリーする
・出走できるように自転車の整備状況、自分の体調が万全かの判断をする
 (出走できる準備が整ってなければ出走中止)
・出走する
・走り続ける
 (指定されたルートを辿って、PCの開閉時間内に到達しているか)
・途中でダメだったらリタイアするかの判断をする
・完走する
 (認定に必要なカード、レシートなどを全てクリアしているか)

もし、どこかで他人任せの判断に身を委ねようということを期待してしまうのであれば、
本来それは参加するに値しないということを知っておくべきだと思うのです。

ブルベの初参加といっても、多くの人は、既に自転車で長距離を走ることは何にも問題の無い人だったりします。
そういう人にあれこれ言うつもりは毛頭ないですが、そうでは無い人が参加するのであれば、話は多少変わってきたりします。

ブルベは、ノーサポートなのでエイドステーションとかレスキューはありません。
一般の商業イベントでは、いたせりつくせりでそういったサポートがあったりもするわけですが、それとは全く異なる世界です。

トラブルが無ければ、たぶん殆どの人が完走できると思うかもしれません。
しかし、ブルベではなぜかトラブルがかなり多く発生します。
そのことに全て自分で対処して、最後まで走り切ることがブルベ本来の姿でしょう。

厳しめの見方をすると、200kmでもコースとしては、途中で気軽にDNFして輪行で帰れるようなコースは甘えたコースなのでしょう。
例えば、定峰200では、輪行で離脱できるポイントが用意されています。
(事前にコースから自分で読み取って準備すべきことです。主催者から離脱用の説明はありません)
これは、初心者がブルベに初めて参加することを考慮して、万一の際には比較的リタイアすることも難しくなりすぎないように、ということを考えてのことだったりします。

本当は、200kmではなく、もう少し短い非公式の走行会などを企画して、そこでブルベ参加に向けた「練習」みたいなものがあっても良いと思うのですが……
ACP公認BRMを主催していくだけでも、それなりに工数がかかり、スタッフの土日など休みの日で動ける時間が消費されてしまいます。

200kmに参加される方には、事前に200kmを走っておきなさいとは言いません。
ただ、160kmなり、120kmなり、最低限ご自分で200kmにチャレンジするための事前準備と心構えが出来ているところまではもってきておいていただいた方が良いのではないかと思います。

あと一般的に言えることとしては、PC間を無補給(休憩無し)で走行できるような練習は、ペースは遅くて構わないのでやっておくとよいと思います。目安としては50kmを連続走行です。
平均速度で25km/hを維持するのは、郊外の信号のない平坦なコースでは可能でしょうが、そこまで出せなくても十分です。20km/h以下で移動すると2時間半から3時間弱となるので、そのくらいの距離・時間を連続して走行できるようになっておけば、かなり違うと思います。

実際にはPCでなくても、自分の都合にあわせて休憩タイミングは設定すべきですが、200kmであれば50km連続走行できると組み立てやすくなるはずです。


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日の出・日の入り時刻を把握しておこう [BRM初心者講座]

2013.3.16(土)

この時期は日ごとに日の出は早くなり、日の入りは遅くなっていきます。
1月のブルベと比べると格段に日が長くなり、200kmだとほとんどが日中の走行となります。

今年、DNSとなってしまいましたが、年初のブルベはAJ神奈川のBRM106逗子200でした。

日の出・日の入り時刻は、国立天文台のサイトで確認することができます。
国立天文台 天文情報センター 暦計算室 http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/

便宜的に各地の暦で調べると、2013/1/6の神奈川県(横浜)における日の出・日の入り時刻は、
日の出:6:51
日の入り:16:43
となっています。

逗子200は、スタートが逗子駅付近で7時という設定です。
日の出時刻が遅いので、6時ではなく7時スタートなのかもしれません。

来月に予定している、BRM413定峰200だと、東京都における日の出・日の入り時刻は、
日の出:5:11
日の入り:18:12
となります。

こちらは、スタートが二子玉川・兵庫島公園付近で6時という設定です。
受付は5時からですが、受付開始時刻にはうっすらと明るくなってきている時間でしょう。
手元のライトが無くても、受付業務はできるぐらいの感じだと思います。

6時スタートで12時間かけて帰ってきても、まだ陽が沈んでいません。
一番遅く帰ってくる人でも、ブルベ中では最後に1時間弱、日の入り後の走行で済むはずです。

5時受付開始にあわせて自走でくる人、また、ゴール後に自走で帰宅する人、
そういう人はブルベの前後で、夜間走行が必要になりますが、
全体を通してだと、その割合はだいぶ減ることになります。

200kmだと前照灯、尾灯のバッテリーを交換することは殆どないと思いますが、
自分の機材のランタイム(稼働時間)をある程度把握しておいて、
夜間走行となる時間分のバッテリー(乾電池・eneloopなど)の予備を持つことが必要でしょう。

GARMINのGPS等を使っている人は、GPSの表示でも(以下はEdge705の英語版の場合)
データ項目で「Sunrise」、「Sunset」を選ぶと、それぞれ日の出時刻、日の入り時刻を
表示してくれます。

およその目安ですが、日の入り時刻のあたりで、前照灯の点灯をすることになるので、
遅くともその時刻には前照灯を点灯する習慣を付けておくと良いでしょう。
尾灯も同様ですが、個人的には尾灯は日中でも点灯させっぱなしにしておくことが多いので、
日中から点灯させている場合は、バッテリーの予備への交換か、
2灯目の方の尾灯を追加で点灯するか、といったことも考えたりします。

ブルベをそれなりの回数走ってくると、前照灯はより明るめのものを志向し、
予備の灯火も誰に言われることも無く自分で常に携行するようになる人が多いようです。
尾灯も小型のものでなく、大型のLED5灯などを複数シートステーに装備するなど、
後方からの被視認性を強く意識した装備に変わって行く人も多いようです。
300km以上、400kmや600kmを走ると、特にその必要性を肌で感じるからなのでしょう。

自分で実際に経験をしてみないと、大切さはきっと分からないかもしれません。
でも、なぜ他の人がそういった装備を使っているのか?
賢明な人なら、その意味を推測し、真似ることから自分の身を守ることもできると思います。

(過去ログ参照リンク)



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