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おもてなしの心と参加者の自律 [BRMスタッフ見習]

2013.5.13(水)

 この手の話題を時折思い出したようにポツポツ書いたりするのですが、私自身が体験した範囲はそれほど多くは無いので、これが全てではないということを予めお断りしておきます。

 ブルベを始めた時期によって、周囲での情報入手のし易さなども大きく変わると思います。私がブルベを初めて知ったのは自転車乗りのブログでした。当時は200kmも走るなんて、まったく理解できない領域でしたが、たまたま実際に走っているランドヌールとひょんなことでリアルで知り合うことができ、おっかなびっくりエントリーしたのが2008年秋だったりします。

 かなり精度の高いキューシート、詳細なコマ図が用意されていて、当時はまだ地図付きのGPSは使っておらず、そのコマ図を頼りに土地勘の全く無い道を、ほぼミスコースなく走れたことを覚えています。
 また、途中のシークレットでスープとゆで卵をいただいたり、ゴールでカレーをいただいたりと、アットホームな雰囲気でスタッフの方々が用意してくれた補給もとてもありがたかったです。
初めての200kmとしては、申し分のない良い体験ができました。自分の中ではおそらくそこが原点になっているのだと思います。

 参加者としての目線で見ると、いろんなことを準備していただくのは嬉しいですし助かります。これは誰もが思うことではないでしょうか。
 一方、主催者としての目線で見ると、各主催者の考え方や提供できるマンパワーの違いもあり、一概にどれがいいとか言えないところもあったりします。

 今でもネットを検索すると古い初期の頃のキューシートや、コースの案内写真を断片的に見つけたりすることができます。国内でブルベが始まったばかりの頃は、参加者のほとんどがブルベについて経験がなく、またコースについても馴染みがないところを走るため、運営側で工夫をされていたのでしょう。
(このあたりは、今でも継続されているクラブもあるようです)

 どこまで主催者側で用意をするのが妥当なのか?
その線引きは、各主催者が考える「参加者の自律(自己完結したサイクリスト)」をどう捉えるかでだいぶことなるのかもしれません。

 何年も連続で開催しているお馴染みのコースで、元々走っていた人達が自分達のために開催している。そんな雰囲気のブルベでは、キューシートは粗くても一見さん以外には問題ないでしょう。当日の運営だけでも、前日以前に認定試走を行って自分の認定を確保した上で待機するわけですから、かなりの負担です。
 実際に自分で運営側にまわってみて、キューシートの作成がどれほどたいへんか。また、その更新を行う場合の情報の取り込みをどう取捨選択するか(後述)、そして更新したキューシートをどうやって参加者全員に周知徹底させることができるか。そのあたりの苦労は、いまだにこれで完璧!といえるような答えを持ち合わせていません。

※情報の取捨選択:
キューシートが間違ってるのでは?と公開されたキューシートに対して修正すべき点を事前にご指摘いただくことがあります。これはとてもありがたいことですが、スタッフが直接確認して裏を取るまではあくまでも参考情報としてしか扱えません。過去にいただいた情報のうち、善意で言ってくださっているのは分かるもの、その情報が間違っていたことが、それなりの回数あったりします。複数の方の情報と写真など第三者でも判別しやすい資料があると、いただいた情報が正しいかどうか判別つきやすくなります。

 運営側の1人でもあるので、自分のブルベについてこう言うのは気が引けますが、他の主催者のブルベをみていて思うのは、本当にご苦労様です。ということに尽きます。
そして、開催してくれるだけで本当にありがたい。

 そのうえで自分で思う事ですが、やはり参加者としてブルベに参加して良い体験をおみやげに持って帰ってもらいたい。そこから、主催者ができること、すべきこと、どういった姿勢で運営すべきかということをいつも考えるようにしています。
(私自身、それなりに出来ているところと、全くいたらないところとあるのですが……)
 
 ブルベの運営は、ブルベの参加者自身が行っています。
たまたま参加者の誰かが「今回はこんなコースで私が主催しますよ」という話があって開催される。
そこは普遍的に変わらないものでしょう。
「自分が主催します」と宣言した以上は、それなりの基準を自ら設定して、それを超えるレベルで運営を考えたいと思う訳です。

 ブルベの運営で大切なことは、最初から最後まで「これは参加者にとってよいことか?」という判断基準で決定していくことに尽きると思います。ひらたくいうと「参加者の不利益になるような取扱はしない」ということです。当然ですが、このひとつとっても、個々人の考え次第で境界線はだいぶバラつきがでるでしょう。
 主催者はひとりでは主催できませんが、参加者からみたら主催責任者はひとりです。一方参加者は50人だったり100人という大所帯。それでも参加者各個人は、自分と主催者という関係でしか見てくれはしません。これは主催者の方でかなり意識をしないといけない話かもしれませんが、参加者のひとりひとりの体験は全く異なるし、それをすべて十把一絡げに扱うことはできない、ということです。

 主催者側のマンパワーも限られていますので、全ての参加者と1対1のコミュニケーションをとることは無理なのですが、どうしても必要な場合は、そこで真摯に向き合う必要があります。言うとやるとでは大違いで、これがかなり主催スタッフの負担になっていたりもします。できればその負担を想像できるぐらいの参加者が多くなっていってくれればと願っています。

 ブルベでは守るべきレギュレーションがあり、装備の不足は出走できないことにつながります。折角準備して参加する気満々でスタート地点まで来たのに、装備不足で出走できなかった。
厳しめの見方をすれば、それは個別の参加案内をきちんと見ていなかっただけでなく、BRM規則自体も理解できていなかっただけの話であり、そもそも参加(出走)資格が無いのはあたりまえ。ということにしか過ぎないのですが、もし自分がそういう事になったら、どう感じるでしょうか?
 当然、感じ方は人それぞれですが、よほど出来た人なら「あぁ、自分がいけなかったんだな」で終わりますが、場合によっては八つ当たりだったり逆ギレすることもあるわけです。
個人的には、こういうことになって欲しくないので、口を酸っぱくして何度も事前案内でメール連絡を繰り返したり、注意喚起を複数回行うようにしていたりします。
(装備不足のまま出走OKにすることはできません)

 キューシートも冗長に映るかもしれませんが、かなり詳細にポイントを入れて提供して、ネットの地図や紙の地図で予習する際にあれ?っとなるところについても備考でメモを添えています。
(参加者から問い合わせが頻発しないようにするための主催者側の自衛でもある)

 コマ図はマンパワーの点で提供していませんが、ルートラボは参加者向けに公開していて、キューシートと付き合わせながら事前予習をしやすいようにしています。

 あとは本番当日の運営で、参加者のみなさんとどうコミュニケーションをとるか、ということです。残念ながら私のところでは、スタートは最寄りの公園、ゴールは最寄りのファミレス、と常設の本部を設置するような運営はできません。
 個人的な思いとしては、有人PCや巡回、またシークレットでの補給提供、ゴールでのスープなど、そういったことが出来たらいいのになぁ、というものがありますが、現時点では物理的に実現不可能です。

 主催スタッフはボランティアですが、ボランティアというのは自発的にその役割を担うというだけの話であって、担当領域についてはプロフェッショナルと同じレベルの仕事が求められます。
ブルベ自体が営利目的で主催してはいけない、ということから、参加者自身がボランティアで運営するスタイルとなっていますが、ボランティアはただ働きスタッフでもなければ、適当にやってればいい仕事ということでもありません。ボランティア自身も、運営に関わってよかった、と思える体験を持ち帰ってもらうことが大切です。
 そして、それを考えるのが、オーガナイザー(主催者)の責任なのだと思っています。

 参加者の人は、初めのうちは参加者でよいでしょう。ブルベについて右も左もわからないところからのスタートですから。でも、何度か走るうちに、自分が出来ることはいろいろあることに気づくはずです。
それぞれのクラブで、それぞれの主催者がいて、流儀は異なるところもあるでしょうが、参加者としての関わりでも手伝えることはあります。そこは自然にできるようになれた方がスマートかもしれません。
そして、いつか自分の手を貸せる時には、運営の手伝いもチャレンジしてみることをお勧めします。

 参加者として自律するためには、運営側の作業を少しでも体験しておくことは、きっと役に立つことでしょう。また、ブルベに対する理解も深まります。

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